ブラッド
「伊里町さん、乱暴なんじゃないですか?」


「デカは乱暴なぐらいがちょうどいいんだ。俺の持論だがな」


「……」


「どうした、佐山?」


「……」


 しばらく無言でいると、相方が。


「気にするなよ。このヤマは逸早くネタ掴んだ者が勝ちなんだ。それだけだ」


 と言って、俺がおずおずとシートベルトを掛けたことを確認し、車を出す。


 すぐにタクシーが猛スピードで、街中枢部の駅周辺へと向かう。


 揺られながら、時折、手元でタブレットを弄っていた。


 何かしら、だるい。


 夏の暑さは半端じゃなかった。


 G県も連日酷暑で、熱中症注意である。




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