ブラッド
「はい」


「段野のDNAが殺しの現場から発見されたら、ヤツを共犯と見ていいぞ」


「ええ、分かってます」


 頷き、時折、手元のタブレット端末に目を落とす。


「伊里町さん」


「何だ?」


「篠原と羽野はどこに逃げたんでしょうね?」


「バカ野郎!それ探るのが俺たちの仕事だろ!」


「ええ。――ですが、いっそ暴対に組事務所のガサ入れしてもらえば……」


「それが出来りゃ苦労しない。暴対がヤマ持ってったら、俺たちの手元には何も残ら
ねえ」


「まあ、そうですが……」


 軽く俯き、車窓から外を見る


 街は回っていた。



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