ブラッド
 併せて、そうも言ってやりたい。
 

 警察は組織で動く。


 個人プレーが許されない世界だ。


 確かに三宅が二年前の悪夢の前に、単独行動だったのは事実である。


 あの時誰かが脇に付いていたら、きっと返す刀で、段野を撃っただろう。


 マルBの警官銃撃に対し、半ば正当防衛の形で。
 

 だが、それも叶わなかった。


 ちょうど週が明け、木曜も俺と伊里町は通常通り捜査に出る。


 外は暑い。


 ここ数日間、酷暑だったし、おそらくしばらくは蒸し暑い日が続くだろう。


 朝から伊里町運転のタクシーに乗り、街を行き来する。


 幹線道路は幾分混んでいた。


 いったん車を停め、歩く。

 
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