ブラッド
 多少歩き疲れても、平気だ。


 金子雅夫と工藤隆明が亡くなった場所へと向かう。


 事件現場は特に変わったことがなく、拍子抜けする。


 警察が網を張れば、ホシは逃げるのが普通だ。


 思う。


 この調子だと、篠原も羽野もしばらくは姿を現さない。


 そして俺たち警察は、みすみすホシを捕まえ損ねる。


 葛藤はあった。


 グラグラ揺れて、折れるように。


「佐山」


「はい」


「飯食うか?コンビニでおにぎりでも買って」


「ええ」

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