七夕幻想 《囚われのサンドリヨン後話》
 暫くそのまま互いを実感し、ようやく離れたところで尋ねる。

「でも何で?貴方はラインダンサーのハーレムで、ゴールデンナイトの真っ最中では?」
「何だそれは」

 怪訝そうに首を傾げる。

「だって。帰国はまだだったはず」

 彼は私の肩を抱き寄せてから、柔らかく微笑んだ。

「オマエが今日寄越した写真にさ……」

 よく見たらスーツ姿のままの彼は、胸ポケットからフォンを取り出した。

 今日送った3枚の画像を、彼の親指が送ってゆく。リンくんにレンくん、それからササの葉……あれ?もう1枚?
 
「ああ‼」

 パクパクと金魚みたいに口を開閉する私に、ニッと意地悪く笑う彼。


“タカトラさんに会いたいよ”


 そこには、私がコッソリ書いたお願いが、大写しで写っている。

「だ、ダレがこんなおイタを…」

 こんなコトするのはレイカさんに違いない。目敏く見つけて、コソッと送りつけたんだ!
 

「ここまで言われたら、少々無理してでも帰らなくちゃ、なあ?」
 ニヤッと笑って言葉を続ける。
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