七夕幻想 《囚われのサンドリヨン後話》
「リンくぅ~~ん、こっちにおいで?」
私が授乳を終えるのを、今か今かと待っていたサヨリさん。
ニッコリ笑って私の手から、甘えたがりのリン君を抱き取った。
と思うと、ササッと絨毯の上にマットレスを敷き、レイカさんと一緒につつき始める。
それを見届けた私は、双子のもう片方、レンくんを抱き上げて授乳を始める。
すると……
ん?
何やら視線を感じる。
顔を上げてみると、近くのソファにだらりと座っていた将馬サンがじっとこちらを眺めていた。
「ち、ちょっと、ナニ見てるんですかっ。恥ずかしいですよっ!」
「ああゴメン。いいな、と思ってね。ホラ、僕にはあまり……母との思い出がないからね……」
キラリと瞳に涙が光る。
「将馬さん…」
しかし皆さん。
彼に隙を見せてはいけません。
悲しげな彼の表情についウルウルしていると、案の定、いつの間にか横にきて私の肩を抱いていた。
「そうだ、美咲ちゃん。
恥ずかしければ、僕を兄さんだと思ってくれたらいい…」
そう言うと彼は、いつもツルっとした額に、ギュッと深いシワを寄せた。
気難しい顔に気取った口調、声色をそっくりに真似てみせる。
「サア、おいで…美咲……」
「た、タカトラさんっ」
ヒシッ。
危うく身を任せかけた私は、ハタと気づいて突き放す。
「チガ~~ウ‼」
すると父親ゆずりの神経質なリン君が、母親の大声に驚いて、胸元でビクッと身を竦める。
フギャアアアア……
ワナワナと声を震わせながら、とうとう泣き始めてしまった。
「わっ、わっ」
「コレ、何を騒いどる。さ、婆に貸してみい♥」
大騒ぎだ……
私が授乳を終えるのを、今か今かと待っていたサヨリさん。
ニッコリ笑って私の手から、甘えたがりのリン君を抱き取った。
と思うと、ササッと絨毯の上にマットレスを敷き、レイカさんと一緒につつき始める。
それを見届けた私は、双子のもう片方、レンくんを抱き上げて授乳を始める。
すると……
ん?
何やら視線を感じる。
顔を上げてみると、近くのソファにだらりと座っていた将馬サンがじっとこちらを眺めていた。
「ち、ちょっと、ナニ見てるんですかっ。恥ずかしいですよっ!」
「ああゴメン。いいな、と思ってね。ホラ、僕にはあまり……母との思い出がないからね……」
キラリと瞳に涙が光る。
「将馬さん…」
しかし皆さん。
彼に隙を見せてはいけません。
悲しげな彼の表情についウルウルしていると、案の定、いつの間にか横にきて私の肩を抱いていた。
「そうだ、美咲ちゃん。
恥ずかしければ、僕を兄さんだと思ってくれたらいい…」
そう言うと彼は、いつもツルっとした額に、ギュッと深いシワを寄せた。
気難しい顔に気取った口調、声色をそっくりに真似てみせる。
「サア、おいで…美咲……」
「た、タカトラさんっ」
ヒシッ。
危うく身を任せかけた私は、ハタと気づいて突き放す。
「チガ~~ウ‼」
すると父親ゆずりの神経質なリン君が、母親の大声に驚いて、胸元でビクッと身を竦める。
フギャアアアア……
ワナワナと声を震わせながら、とうとう泣き始めてしまった。
「わっ、わっ」
「コレ、何を騒いどる。さ、婆に貸してみい♥」
大騒ぎだ……