七夕幻想 《囚われのサンドリヨン後話》
 ベビー達の誕生は、バラバラだった家族をシッカリと繋いだ。

 
 それまでは食事も別々、自室に籠ってばかりだった家族達が、気がつけば夕食を終えると広いリビングに集合するようになっている。

 生まれる前には、“双子のオセワってどれだけ大変なんだ”と構えていたものだが……

 今やこの子達は、こっちが寂しくなるくらい私の手元に戻ってこない。

 大勢の愛情に囲まれて育つベビー達は、いつも笑っていてシアワセそうだ。 


 タカトラさんがムリヤリ集めた、ベビーを含めた12人家族。
 当初は何かと大変だったけど、今では彼に感謝している。
 


 婆ちゃんにあやされて、やっと笑い始めたリンくんを見て、私はフゥっと溜め息をついた。 

 それを見た将馬サンが、隣でポソっと呟いた。 

「兄さんも、早く帰ってくればいいのににねえ……」

「……ハイ」
 私はコクリと頷いた。


 満ち足りて、何の心配もないはずの私は近頃、溜め息ばかりをついている。

 理由がある。

 そう、将馬サンの言ったとおり、この家族に、肝心の一人がいないからだ。



 家族を集めた張本人。
 誰よりも寂しがり屋の、私の大事なダンナ様が。

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