七夕幻想 《囚われのサンドリヨン後話》
2 星に願いを
「新婚の頃はね、『君が居ないと朝起きれない』とか言って、出張に強制連行されちゃったりしてたんですよね~」
「ホッホウ……毎日ハネムーンですかぁ。そりゃあ羨ましい。双子チャンも生まれるワケです」
「ヤダも~、恥ずかしいなあっ」
午後3時。
家族はまだ、それぞれの仕事から帰っていない。
双子ちゃん達はベビーシッターさんの完璧な管理の下でお昼寝中。
私といえば、以前のメイド仲間で今はママ友のオオガミさんと、優雅にテラスでティー・タイムだ。
彼女の連れ、齢3つのフユキ君は、手のすいたベビーシッターのお姉さんのお膝を占領し、お手ずからオヤツのマフィンを口に運んでもらっている。
それを尻目に、彼女はヴィトンのバッグから『カッパエビセン』を取り出した。
「へへ~、四葉チャン、こういうの食べたかったでしょ?」
「そ、それは!」
その余りの眩しさに、私は思わず目を覆う。
そう、本日の『イイ母乳を出すため』の仄甘い上品なお味のマフィンを悪く言うわけではないが、生粋の貧乏舌の私には、いささか上品にすぎる。
たま~に、ごくたま~に、こういう濃いお味が恋しくなるのだ。
シッターさんにジロリと見咎められたのを全く気にせず、我々はそれをポリポリつまみ始めた。
「ホッホウ……毎日ハネムーンですかぁ。そりゃあ羨ましい。双子チャンも生まれるワケです」
「ヤダも~、恥ずかしいなあっ」
午後3時。
家族はまだ、それぞれの仕事から帰っていない。
双子ちゃん達はベビーシッターさんの完璧な管理の下でお昼寝中。
私といえば、以前のメイド仲間で今はママ友のオオガミさんと、優雅にテラスでティー・タイムだ。
彼女の連れ、齢3つのフユキ君は、手のすいたベビーシッターのお姉さんのお膝を占領し、お手ずからオヤツのマフィンを口に運んでもらっている。
それを尻目に、彼女はヴィトンのバッグから『カッパエビセン』を取り出した。
「へへ~、四葉チャン、こういうの食べたかったでしょ?」
「そ、それは!」
その余りの眩しさに、私は思わず目を覆う。
そう、本日の『イイ母乳を出すため』の仄甘い上品なお味のマフィンを悪く言うわけではないが、生粋の貧乏舌の私には、いささか上品にすぎる。
たま~に、ごくたま~に、こういう濃いお味が恋しくなるのだ。
シッターさんにジロリと見咎められたのを全く気にせず、我々はそれをポリポリつまみ始めた。