【短】嘘つきなキミの裏顔
豹変した彼 ─杏side─
「礼」
「「「ありがとうございました」」」
チャイムが鳴り、教室に戻るとき、頭にさっきの快の様子が浮かんだ。
なんていうか、まとめていうと冷たい感じ……。
ほんとに、どうしたんだろう。
快の教室前に来た頃
「前崎さん、ペン忘れてたよ」
後ろから、クラスの男の子に呼び止められた。
「わ。ほんとだ、ありが──……」
ありがとう、そう伝えようとしたとき、ペンを受け取ろうとした私の手を誰かに掴まれた。
「杏」
この声は……
「か、かい!?」
快は掴んでいた手を自分のほうへ引っ張った。
な、なんか、だだだだだ、抱きしめられてる!?
と思いきや、くるりと前を向かされ、優しく後ろから抱きしめてきた。