☆お見舞いに来てください☆

だとしたらこの風邪にも思いっきり納得がいく。

やんわりと、でも確実に思い出した優花はどっと額から冷や汗が出た。



「なんてことを…」


やっちゃったよ、おい。

現実を突き付けられた優花は今度は自分が頭を抱えたくなった。

なんて失態…

まさか私が酔っぱらって、主任にそんな大胆なことをするなんて、一生涯の不覚。

しかも主任に犯罪まがりの言葉を向けるだなんて。

もう熱のダルさなんて吹き飛びそうだった。

28年生きてきてこんなに恥を感じたことはない。


「す、すみませっ…」

「しかもお前そのあと何て言ったか分かる?
主任のせいで雨に濡れたから風邪引いちゃうかもって、明日これで熱が出たら主任が責任もって看病に来てくださいねって、アパートの合鍵まで渡されて」


ショックでもうまともに主任の顔さえ見られなかった。

私ってば何てことを…

優花は熱で赤くなった顔をさらに赤くし、目の前の主任に頭を下げた。


「申し訳ございません!!」


謝っても謝っても謝りきれない。

これはもう好きだ、憧れだの騒ぎじゃない。

むしろ嫌われた。

ドン引きだ。

30手前の女が何やってんだって、確実に軽蔑されたに違いない。

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