☆お見舞いに来てください☆

もう半泣き状態だった。


「すべて私の責任です。主任は何も悪くありません」

「分かればいいんだよ」


私の態度に気を良くしたのか、主任が満足そうに頷きを返す。

良かった、機嫌が少し戻ったようだ。

眉間のシワも消えている。

そしてさっきとは違い、とても楽しそうな笑みを浮かべ始めた主任。ニヤリと意味深に笑ったと思ったら、優花の目の前にさっきの鍵を付きだしてくる。


「で、これがその時の合鍵だ」

「……はい」


きっと主任はこれを返しに来てくれたんだ。

だって人様の物をずっと持ってる理由なんかないもんね。

しかも何とも思ってない相手なら尚更だ。


「わざわざご丁寧に返しに来てもらってありがとうございます」


心の中はドン底だった。

それでも深々と頭を下げ申し訳なくそれを受け取ろうとすると、主任がそれをヒョイッと優花から遠ざけるように上に上げる。


「これをただで返せると思う?」

「へっ?」

「このまま何もなかったかのように返せるほど俺はそんなに人間できてないんだけどなぁ」

「…はぁ……」

「このお詫びはどう返してくれんの?」

「……」

「もしかしてこれで終われると思ってる?」

「…そ、れは……」


優花がさも困惑したような、泣きそうな顔に変わる。

この様子だと主任はかなりご立腹だ。

もしかして精神的慰謝料でも請求さられるんだろうか?

いや、この様子だとそうに違いない。

主任の言葉に優花はさらにショックを受ける。


……でも、だとしてもしょうがない。

だって悪いのは全部私。

非があるのは全て私の方なんだから…

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