☆お見舞いに来てください☆

「私、結婚するなら絶対先生がいいです。それ以外考えられません。だからもう少しだけ待っててください」


恥ずかしげもなくそう言えば、何故か面白いぐらいに先生が固まった。
そして「…ああ、うん。いつまでも待つよ」と言いながら口元に自らの手を当て私から視線をそらしてしまう。


「なんか破壊力すご……」

「え?」

「そんな風に面と向かって可愛いこと言われるとさすがに俺も、ね。照れるよね」


そんなこと言うもんだから私も照れる。
先生の耳が分かりやすいほど赤くて何だか可愛い。
つられて赤くなってしまう。


「あー…そういえば花火。今何時だっけ?」

「あっ」


そう言えば…と、私も時計に目を向ける。
気づいたら後30分ほどで終了してしまう時間だった。

二人してあちゃ…という顔になる。


「せっかくこんな可愛い浴衣で来てくれたのに勿体ないよね」

「いや、でも私が悪いので…」

「いや駄目だ。やっぱり勿体ない。こうなったらとっておきの方法でいこうか」


先生が何かを思い付いたような顔付きになる。
そして素早く立ち上がると、私の手を引き歩き出そうとする。
私は訳が分からず「あの…」と首を傾けたけど先生は「いいから」と楽しそうに笑うだけ。
< 416 / 446 >

この作品をシェア

pagetop