☆お見舞いに来てください☆
そして二人分のペットボトルを持って連れて来られた場所は病院の屋上だった。
先生は内緒だよ、なんて言って屋上に続くドアの鍵をガチャりと開けた。
「わぁ…」
「今日は特別」
そこは見慣れない光景だった。
普段屋上へは誰も入れないことになっている。
行ったことがないのだ。
だから広々としたこの光景に気分も開放的なものになる。
周りには何もないけど、空がぐんと近くに見えた。
「すごっ、此処って特等席じゃないですか!」
そして見上げれば打ち上げ花火が割りと近くで広がっている。
とてもしっかりと見える為私の瞳は輝き、興奮ぎみに隣に立つ先生の腕を掴んだ。
「綺麗!すごい!むしろ此処からの方がゆっくり見れて最高です!」
「それは良かった」
先生は満更じゃない顔をした。
そして私の手を掴みそっと握りしめる。
「なんなら来年から此処で見る?未来ちゃんがよければ特別に確保するよ?未来の奥さんがこんなに喜んでくれるなら俺も嬉しいし」
「あ、ありがとうございます。嬉しいです」
むしろ人混みの中で紛れて見るよりこっちの方が静かで断然素敵。
だって先生と私の二人だけの特等席…