☆お見舞いに来てください☆

椎名先生なんかはこの日がくる事を心待にしててくれたらしいのだ。
そして三月さんもやっと覚悟を決めたね。なんて言って私をもてはやそうとする。


「秀先生、こんな娘ですが末永く宜しくお願いします」

「喜んで。慎んでお受け致します」

「そっかー、ついに未来ちゃんもうちから卒業なんだなぁ」


椎名先生はしみじみ語る。
私を優しく見つめながらまるで本当に我が子を嫁に出す父親の顔をしてくれる。

だから私もつられて椎名家を出る娘の心境に。


「お父さんお母さん長い間お世話になりました」


そんな言葉で笑いを向ける。
家族以上に家族として接してくれた二人には本当に感謝の気持ちしかない。
そして私の大好きな人達だ。


「三月さん大好き。これからもずっと友達だよ!」

「当たり前でしょ。これからも変わらず親友だから」


柄にもなく二人してうるうるして抱き合った。
そしたら「僕も!」「私も!」って愛心ちゃんも優人くんも抱きついてきた。

だから皆してぎゅってして笑い合った。

私にもこんな素晴らしい日が来るなんて思わなかった。
今まで真剣に悩んだかいがあったとしみじみ思う。

そして今日という日に感謝。
支えてくれた皆に感謝。
秀先生に出会えたことに感謝。

今まで精一杯生きてきた自分にも今日だけは感謝の気持ちでいっぱいになった。
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