☆お見舞いに来てください☆
写真撮影は中嶋さんがしてくれた。
趣味が写真だと言う彼はまるで本当のカメラマンのように沢山の写真を撮ってくれた。
この日の為にわざわざ新しい一眼レフのカメラまで買ってしまったのだと、得意気に言われた時は驚いたけど、その気持ちがありがたく思えた。
「ほらほら、皆笑って?」
とても慣れた手付きで中嶋さんはカメラのシャッターを押し続け、真剣な表情を見せてくれる。
その姿は凛として、たくましく見え、まるで先程の彼とは全く別人のようだ。
バージンロードを歩く際、父親の変わりに一緒に歩いてくれた彼は最初から最後まで涙目だった。
「ああ、この日が来るなんて夢みたいだ…」
約束を果たせて良かったと、涙ぐみながら一緒に歩いてくれた彼は本当の父親のように私を先生の所まで連れて行ってくれた。
先生への深いお辞儀を見たとき、何とも言えない愛情を感てしまい、私の方こそ歓喜余り涙を流してしまった。
「未来には沢山お父さんがいるんだね」
式の終わり際耳打ちで言われ、私は先生を見上げた。
彼はちょっと複雑そう。だけどどことなく誇らしげな表情で目を細めていた。
「……もしかして妬いてます?」
「……少しね。だけどそれ以上に誇らしいかな。皆から愛される奥さんは俺の自慢だからね」