☆お見舞いに来てください☆

未来が体調を崩し始めたのだ。
熱は微熱程度だが、どことなく怠そうに見える。


「これぐらい風邪薬飲んでおけば平気です」


彼女はそう言って気丈に振る舞うが、俺は内心引っ掛かるものがあった。
少し疲れが出たのだろうか?
この1年彼女は働き詰めだった。
仕事の傍ら家事もきっちりこなしてくれていた。

未来を抱いて眠る時、パジャマ越しでも分かるどことなく火照った体。少し寝苦しそうにみえる仕草が気がかりだった。


「あまり無理はしないでほしい」

「大丈夫ですよ。少し風邪を引いただけです。こんなのすぐに治りますから」

「けど……」

「ふふ、過保護過ぎですよ」


だといいのだが…
柔らかに笑う彼女の笑みに負け、俺はこの時深く考えずに納得してしまった。

ちょうど明日明後日は土曜日と日曜日。その次は祝日で未来の教室は3連休になっていた。


「この連休でしっかり休みます」


その言葉に頷いて、少なからず俺は安心をした。
柔らかな彼女の髪をなぞるように撫で、額にキスをする。
くすぐったそうに身を寄せる彼女をそっと腕の中に閉じ込めた。


「おやすみ」

「おやすみなさい」

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