☆お見舞いに来てください☆
未来は不安そうだったが、俺の強い意見に最後は頷いてくれた。
不甲斐ないという感情は丸見えだったが、こればかりはしょうがない。これ以上体調が悪化したらと思うとこっちが気が気じゃいられなくなる。
「迷惑かけてごめんなさい」
「迷惑だなんて思ってないよ。むしろ俺の前では強がらないで。頑張りやなのは良いことだけど、肝心な時まで頼られないのはさすがの俺も寂しい。悲しくなるよ」
彼女の頬を撫でながら柔らかに見つめた。
目の前の瞳から堪えきれず涙が溢れてくる。
そんな表情1つ1つを守りたいと思う。
「俺には弱音を吐いてもいいんだよ」
むしろ頼ってほしい。
そのための夫婦なのだから。
完璧な奥さんなんか望んでいない。むしろ少し抜けてるぐらいの方が可愛くてちょうどいい。
「だからもう一度聞いていい?他に気になる症状はある?」
そう聞けばやっと納得したように頷き、ぽつりぽつりと話し出してくれた。
そしてその内容は俺を無言にさせるには十分なもの。驚きを表すには時間はかからなかった。
「……それってあれからずっと?」
「……黙っててごめんなさい。熱は下がったんですけど風邪のような症状が続いてて、食欲も減ってく一方で。なんかこう胸の辺りがモヤモヤとすっきりしないというか…」
「吐き気は?今日が初めて?」
「そう、です。家に着く寸前急に強い気持ち悪さに襲われて我慢できなくなっちゃって」