満月の夜に優しい甘噛みを
「この辺に・・・」

下駄箱の下をあさる。

でもどこにも見当たらない。

(・・・やっぱないかぁ。)

もう諦めて教室に戻ろうとした時

頭にコツンと衝撃がきた。

「痛っ。」

「何やってんだよ。」

聞き覚えのある優しい声に顔を上げる。

「・・・あっ。昨日の。」

その手には曖來が探していた

生徒手帳があった。

「お前、昨日目気にしすぎて落としてたぞ。」

「わざわざありがとうございます。

でも・・・」

生徒手帳にはこの学校の住所は細かく書かれていないはず。

なのにこの学校にたどり着いた。

「でもどうしてここが分かったんですか」
< 13 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop