満月の夜に優しい甘噛みを
「・・・はぁ。もうどんだけラブラブなの!

嫉妬しちゃうな!

あーもうサインしちゃえよ!」

爽河が契約書とペンを渡す。


観音凛叶・菜原曖來 は

お互いを深く愛し合い、

辛い時も2人で支え合い、

血を与え、血を欲し、

その身が滅びるまで、

生き抜いていくことをここに誓います。

名前を契約書に書いた。

俺は初めて書いたから字が汚かった。

曖來は緊張しながら書いたからか字が震えていた。

「・・・字、きたな。」

「そっちこそ!」

そんな言い合いをしながら笑う。

「おふたりさん、

最後の欄見てね。」

契約書の一番下の欄を見る。

契約することを示す主の血をここに奉れ。

主は、二度と契約を切れなくなる。

俺は曖來を、見る。

すると、曖來は白い首筋を見せてきた。

「・・・はい。凛叶。」

「・・・いいのか。ほんとに。」

曖來は笑って

「もちろん!」 と言った。

俺は曖來の首筋に優しく噛み付いた。

「・・・っ。」

「・・・んっ。

血あつっ。

火傷しそう。」

「んー!うるさいー!

・・・ッ」

「・・・はぁ。

終わったぞ。

・・・痛くなかったか?」

「・・・うん。痛くないよ。」

・・・嘘だ。

目が少しだけ潤んでいた。

そう簡単になれるものでは無い。

でも、俺はそのことを心の中に留めた。
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