満月の夜に優しい甘噛みを
「だ、だっていきなりそんな事いうから!」

「ねぇ、男と手握ったことある?」

「え・・・いや、その・・・。」

(・・・ないなんて言えないー!)

「その反応は・・・ねぇーんだな?」

コクンと首を動かす。

すると

ゴソゴソ・・・。ゴソゴソ・・・。

彼は潤んだ緋色の目を輝かせながら

自分のジャケットの胸ポケットから

何かを取り出したけど一瞬のことで見えなかった。

「・・・はい、これ、やる。」

「え?」

彼の手にはいちごみるくの飴が見えた。

私の大好物だ。

いちごみるく。

食べたい。

私は彼の手にある

いちごみるくの飴を取ろうとして手を伸ばした。

「あ、ありがとう。」

私がいちごみるくの飴に触れた瞬間・・・

彼は私の手を握った。

(・・・テ、テクニシャンだ。)

私は彼の顔をまともに見れなかった。

見れるわけがない。

それは私は今きっと

私の顔はりんごみたいになっているから。

自分でも分かるほど顔が熱い。

「・・・ねぇ。

なんで下むいてんの?

もしかして顔真っ赤になってるの?

ハハッ」

「な、なってない!」

「じゃあ確認してもいい?」

「・・・え?」

そういうと彼は私の顔をのぞき込んできた。

「・・・やっぱり。

りんごみたいに、顔真っ赤だよ。」

「・・・み、見ないでよ~。

は、恥ずかしい」
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