満月の夜に優しい甘噛みを
「・・・恥ずかしいの?

へぇー、あんた、変わってるな。」

「そ、そう?みんなそうだって・・・」

「そうかな~?

まぁいいや。

次のお願い聞いてよ。

じゃあ・・・」

「目閉じて。」

「・・・え?

怖いんですけど・・・」

私はまた逆らったら笑われそうだったから

恐る恐るだが、素直に従った。

(目閉じさせて何するんだろう?)

「このお願いはすぐに聞いてくれるんだ・・・

やっぱ変わってるわお前。」

「絶対目開けちゃダメ。

俺がいいって言うまで目閉じてろよ。」

「うん。」


「じゃあ次のお願いは・・・」

彼はその先をなかなか言わない。

その隙に私の首元に

彼がよってきた気配を感じた。

その瞬間・・・

首元に針が刺さったような痛みが伝わってきた。

(・・・っ、痛っ)

(今何が起きてるの?)

目を閉じているせいで起きている状況が把握できない。

私は気になって、目を開けようとする。

すると目に大きい手が覆いかぶさっていた。




その後は痛みは感じなかったけど、

私の耳に聞こえたのは

「美味しい」という声だけだった。


数分後・・・

「目、開けてもいいよ」

彼は優しい声でそういった。

私は今起きた状況が

知りたくてすぐに目を開けた。

「今、何が起きたの?」

「・・・俺、何もしてないよ」

「うそっ!

絶対なんかしたよね!?

美味しいとか言ってなかった?」

「・・・それ、幻聴じゃねーか?」
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