満月の夜に優しい甘噛みを
「・・・猫には優しいんだね。」

「・・・・・・。」

彼は黙ったままうつむいた。

(なんかまずいこと言っちゃったかな?)

「あ~ご、ごめん!

なんか気に触っちゃった?」

「・・・別に。

ところでさ・・・」

「うん。なに?」

「お前何で子猫助けようと思ったの?」

「いやいや、当たり前のことじゃん!

こんな小さい子ほっとけるわけないし、

それにここにずっといたら・・・

どうなるかもわからないし!

猫大好きだし!!」

「ふぅ~ん・・・

お前やっぱ変わってるわ」

「そう?みんなそうするってば!ハハッ」

すると彼は猫を逃がして代わりに突然私の手を引っ張った。

「ちょ・・・」

「・・・いいから。無駄口たたかない。」

(ていうか、青空待たしてるんだけど!?)

「ね、ねぇ!私友達待たしてて・・・」

「・・・携帯貸して。」

「へ?」

「・・・貸してって。ほら。」

「あ~ちょっ・・・」

そういって私が握っていたスマホを取ってなにやらし始めた。

「あ~ちょっと・・・勝手に・・・」

「黙ってろ。」

彼は指を私の口に当ててそう指示した。
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