満月の夜に優しい甘噛みを
「・・・ちっ。めんどくさい奴だな。

俺もそろそろ・・・っと。

曖來見ていくか。」

ガラッ・・・。

「・・・ぐっすり寝てる。」

曖來の寝顔を見ながらそう呟いた。

(・・・意外とかわいい顔してるな。

そんな顔してるから危ない目に合うんだぞ。)

俺は曖來の崩れた前髪を直しながらそんなことを思っていた。

白い首筋。白い肌。

(・・・やばい。

我慢しろ俺。

これ以上いると・・・)

吸血行動に走るのを何とか抑え、

自室に足早に戻った。

ボーン・・・ボーン・・・ボーン・・・

0時を知らせる鐘の音。

ゴクッ・・・ゴクッ・・・ゴクッ・・・ゴクッ・・・

はぁ~。危なかった。

曖來をまた苦しめる所だった。

自室に戻った俺は冷蔵庫に山のように積まれた

濃いトマトジュースを飲みながらそう思っていた。
< 38 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop