満月の夜に優しい甘噛みを
・・・

私の頭には暖かい感触。

目を覚ました私の目に見えたのは

白銀の髪色をした、

どこか悲しげな紺色のクッキリした二重の目、

スラリと伸びた鼻筋。

見惚れそうなくらいの美しい顔の男性だった。

(綺麗な人・・・。

って見とれてる場合じゃない!!)

「ご、ごめんなさい。」

私は慌ててその場を離れようとした。

「・・・ひざまくらしてあげてた男から逃げる気?」

「え?」

そういうと彼は起き上がった私を

後ろから優しく抱きしめていた。

「・・・っ、あの。」

「なんかあったんでしょ。」

「・・・放っといてください。」

「放っとけるわけないでしょ。」

「・・・じゃあ、話すんで。

手ほどいてくれませんか?」

「なんで?」

「な、なんでもです!」

「わかった。いいよ。

はい。」

そういうと彼は手をほどいてくれた。

初対面の男性にイライラしていた私はなぜか、

ペラペラと今日起きたことを淡々と彼に話した。



話し終えた私はおもわず嗚咽をもらしていた。
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