満月の夜に優しい甘噛みを
近づいてくる凛叶の足音。

凛叶を呼ぶ女子たちの声。

「・・・曖來。」

「凛叶。

私呼んでたの忘れたの?」

「・・・ごめん。

これには理由があって・・・」

「もういい。私今日は、帰る。」

「・・・曖來。

聞けって・・・」

凛叶は私の手を引っ張って止めた。

「離して・・・。」

「まって・・・。」

凛叶は強く腕を握った。

「・・・痛いよ。

離して!!」

私は思いっきり凛叶の手をはねのけた。

「・・・っ、おい。」

「・・・あの子達のとこ行かなくていいの?」

「あとでなんとかするから。曖來・・・」

「私との待ち合わせより、

あの子達を選んだんでしょ。」

「・・・だから違うってば!!」

凛叶が初めて私に怒鳴って言った。

「・・・っ。ご、ごめん。

きつく言い過ぎた。」

「・・・もういい!!」

「・・・曖來。」

私はその場から走って逃げた。

「凛叶~。遊ぼ~。

あんな子ほっときなって。

私たちの方がいいでしょ?」

「・・・ざけんなよ!」

「え」

「ふざけんなよ!・・・くそ。」

「凜叶・・・?」

「・・・俺も帰る。」

凜叶は追いかけてくることもなく

曖來は家へと向けて早足で帰る。
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