満月の夜に優しい甘噛みを
俺は歯止めが効かなくなっていた。

俺の体は自然と曖來の方へ向かっていた。

「おい、凛叶!凛叶。待てって!

わっ!すいません。」

爽河の声が頭に響く。

でも止めれない・・・。曖來・・・。

俺は走った。

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。

「だね~!ハハッ」

曖來の楽しそうな声が聞こえた。

「はぁ・・・はぁ。

あ、曖來!」

1ヵ月ぶりの曖來の姿。

・・・以前より、女子っぽさがますます感じられた。

「・・・り、凛叶?どうして・・・?」

「・・・どういうこと?

こいつとは友達じゃなかったの?」

俺は手を繋いで歩いている曖來の姿を見てそう聞いた。

「・・・あ~。実は~・・・」

「また、あんたか~。

曖來は俺の彼女になったんで。

俺のものなんです。」

そういうと青空ってやつは曖來の腰を抱いていた。

「・・・は?彼女?」

「はい。

俺達1ヶ月記念で今デートなんです。

な、曖來。」

「うん・・・。そうだよ。」

(1ヶ月・・・)

曖來と連絡取れなくなってた期間が確か

そんぐらいだったな・・・。

俺の胸にその言葉が深く深く突き刺さる。

「・・・曖來。お前に話したいことが・・・」

「ごめん。デートだから!」

キッパリと断られる。

「・・・っ。

そっか。そうだよな・・・。」

俺の想いはもう曖來に届くことはない。

二度と・・・。
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