最初で最後の恋。
好きになってはいけない人?
紅くなる私のほわほわとした空間を割いたのは悟にいの声だった。
「ごめん、カエデ。俺これから撮影入ってんだ、」
「じゃあ作っておきますね。晩御飯」
私が言うと悟にいは頬っぺたを淡い赤に染めて私のおでこを小突く
「なんか、新妻っぽかった。」
ににににににににににににににににににににに新妻ァっ!!?悟にいのぉ?!
と心の中でフィーバーしながらも悟られないように平静を装う。
「ふふ、悟にいは冗談が上手いんですね。」
私がバクバク言う心臓を隠しながら話すと悟にいの大きくてゴツゴツとした手が私の腕を掴んだ。
気が付くと私の腕を少し引き壁に付けておでこをくっつけていた。
「なあ、家族なんだから敬語やめねー?」
「えっ?、でもっ、」
戸惑う私が目を開けると悟にいはずいずいと顔を近づけている所だった。
「言わないと離れねェ、いいのか?このまんまチューするぞ。」
た、タメ口なんて悟にいに、
私がぎゅぅっと目を瞑ると悟にいに頭を撫でられた。
「んな、可愛い顔男の前ですんなよ。ゆっくりでいいから。あんま急にこられてもなんか驚く気がするし」
「へぁ?ぅ、う…うん、悟にい。ありがとう、」
これが悟にいの優しさであって気遣いなんだと思うと堪らなく嬉しかった。
そして撫でられた頭がなんだかとても熱くて、ああ好きだな。この手が。
すると悟にいの携帯がなり、それをすぐに慌てた様子で悟にいが取り
「あ、ハニー?はは、ごめん。で?もう?分かった今から行くから待ってろ。」
となんだか意味深な言葉を発しじゃあと言って出て行ってしまった。
ハニーという名前が私の頭をぐるぐる駆け回っていた。