最初で最後の恋。
帰り道
「それじゃあね、カエデさん。」
「うん」
また知り合いの人に誤解されるのも大変だからと私達は学校の近くで別れた
なんでだろう、さっきはあんなに時間が経つのが早かったのに
あんなに道が近かったのに、凄く長く長く感じる。
今になってアインシュタインが言っていた相対性理論のふざけ半分の説明がわかった気がする
帰り道は長くて、だんだん疲れてきて
色んな家からの美味しそうな晩ご飯の匂い、子供が母親に連れられ嬉しそうに帰ってる
そんなに長くない道は罪悪感とどうしたらいいのかわからない感情が渦巻いて、無駄に体力を使う
昨日の想いがまた頭を駆け巡る
ぐるぐるぐるぐる
だって悟にいは沢山の綺麗な女優さんに囲まれて、一杯好きな人が居るんだよ
私みたいな可愛くもない女の子にあんなこと、弄ばれてるに決まってる。
新しい靴は昨日の水たまりで少し汚れてる、アスファルトに所々から雑草の花が咲いてる
何時もの風景が何気無く綺麗に見える
なんでこんなにドキドキしてるんだろう
本気になっちゃダメだって、
本気で好きになっちゃ駄目だって、
わかってるのに
水がポロリと地面に落ちた
ぽろぽろ落ちた
雨なんか降ってない、綺麗な夕暮れなのに。
「どうして、本気にしてるの、」
馬鹿だ、私。