最初で最後の恋。
私がようやくの思いで会えた家族は黒焦げの冷たい塊だった、見るも無残な姿に涙すらでなかった。
最後に助けを呼んだであろう口がパッカリと空いたまま焼けている。
「ただいま、」
そう言ってもいつものお帰りは返って来ない、いつもなら母がおかえり、と笑ってくれていたのに塊になった母は布を被せられて全く動かない。
「お姉ちゃん、私の学校の話聞いてよ、ねえ、お父さんっ。いつものゴルフの話して、?ねえっ!!返事してよぉっ!!!なんで私だけを置いて行ってしまうのっ?!!」
私はその場で泣き崩れた、誰ももう泣くなと咎める人は居ないのだ。
ああ、もうあのお母さんのあったかい手料理食べられないんだ。
こんなことならあの時喧嘩なんてしなければ良かった。なんて言葉私からは出なかった、どうして?今朝は皆私を送り出してくれたじゃないの、私に気を付けてねって。
どうして置いて行ってしまうの、私だけ一人ぼっち。
それから私の大切な日常は二度と返って来なかった。