最初で最後の恋。
私がふと時計を見上げると既に時計の針は八時をさしていた。
「あ!もうこんな時間っ!!」
悟に合鍵を貰い走って駅へ行く。
前に住んでいた、家のように近くはないから急いで行かなきゃ間に合わない。
何とか間に合った電車に揺られていると、もう一人の親友である紗江が電車に同じく揺られていた。
「紗江!電車で通ってたんだ。」
「カエデ!あんたもこれからは電車なんだね。じゃ毎朝一緒に行けんじゃん!」
「うん!」
紗江は身長が高くて、甘栗色に染め上げたストレートの髪が似合う所謂クール系女子だ。
髪型は親の方針通り巫女さんスタイルでパッツンと切られているけれど、髪色は親へのちょっとした反発心だと言っていたが外国人のように整っていたその顔によく似合っている。
電車から降りると夕佳が自転車を必死に転がしてこちらへ来ていた。
挨拶をしようと待っていると背中にわらってしがみつく昔の私が見えた気がして目を細めた。
ああ、あの時は幸せだったな。
私が呆然と立ち尽くしているとバンッと背中を叩かれた。
「早ェな!カエデっ!!おはよ!」
全力で笑う夕佳に、少し涙腺が緩んだ。
でも、そんな弱いところ見せたくないから笑って元気にカエデらしくおはようと挨拶をして今日も登校する。