最初で最後の恋。
「ふふ、夕佳ったらバカでしょう?「ねえ、俺目の前に居るんだけど」
「ああ、確かに。相変わらずバカだなァ。「あっ、無視?俺ここにいるよ?」
廊下を紗江と話しながら歩いているとすぐ後ろから涼一の声が聞こえた。
「あーっ!紗江!!見てて見てて!俺そこまでバック宙で行ける気がするゥゥ!!!」
そう言いながら思いっきり転けた涼一に
「松井くん、バカね。」
紗江は呆れながら涼一の方へ駆け寄って行った。
なんだか、仲良いみたいでホッとする。
そんな風にルンルンと歩いていると誰かに思い切りぶつかった。
ごめんなさいと顔を上げるとそこには学校一の王子様的存在の浅井春(あさいはる)くんが立っていた。
「い、いやっ!俺の方こそ前見てなくて。ごめんね。」
「ううん、私の方こそ不注意でしたっ、じゃあ、友達呼んでるのでこれで。」
パタパタと私の名前を叫ぶ夕佳の方へ後ろ髪引かれる思いで走っていく。
その時真っ赤になっている浅井くんに私は全く気がついていなかった。