あなたにspark joy
血相を変えた篠宮慶太の顔が、ライトでやけにはっきり見えた。

私を引き寄せた腕も、固い胸も。

柑橘系の爽やかな匂いと温かい篠宮慶太の身体を間近に感じて、私は息を飲んだ。

なんで、こうなるの。

しかも、モロしっかりと抱き締められて、私の胸が彼の身体に当たっている。

胸が、初対面の男に。

胸が。

胸がっ!

カアアッと全身が熱くなり、私は頭の血管がキレそうな気がした。

だから私、一人で帰れるって言ったじゃない!

それをなに!?勝手に追い掛けてきて、急に腕を掴むなんて、驚くに決まってるじゃない!

それに私、噴水の際に立ってたんだよ?!驚いた私が噴水の中に落ちちゃうかもとか、どうして想定出来ないのよ!

噴水に落ちるのを助けてくれたかも知れないけど、その元凶はこの作業服のせいで、私が自分で落ちようとしたわけでも抱き締められたかったわけでもない。

なのにこんなに密着して、胸まで……!

許せない!
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