あなたにspark joy
「石川営業部長に会いにいったんでしょ?」

「はい。飛び入りでしかも最速でお願いしたので、やっぱり直にお会いしてご挨拶した方がいいと思って。快く引く受けてくださって助かりましたね!」

私がそう言うと、金田さんが少し困ったように頭を掻いた。

「実はさ、真優ちゃん、この件に関わったことを上山さんに内緒にしてって言ってたじゃん?でも……製造部の安川部長があまりにも対応が素早いから不思議に思ったらしくて、製作課と保全課の課長に事情を聴いて、真優ちゃんがK鋼材の石川さんに掛け合ったのを知られちゃったんだよね」

私は息を飲んだけど、その先を聞いてさらに硬直した。

「しかも、上山さんだけじゃなくて、安川部長が会議中にこの話をしたものだから、社長の耳にも入っちゃって」

えー……。

「あの、上山さんは……大丈夫ですか?安川部長、怖いから……」

……まあ、上山さんも怖いけれども。

立場的には上山さんよりも部長のが上なわけで……。

それに上山さんは私をよく思っていないから、私が石川さんに掛け合ったなんて知ってしまったら嫌な気分になったんじゃないだろうか。

そう考えるといたたまれなくなって、私は金田さんに焦って言った。

「あの、私が首を突っ込んだために上山さんを嫌な気分にしちゃってたら申し訳ないので、金田さん、これは偶然の賜だと上山さんに……」
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