あなたにspark joy
噴水に背を向けて私を胸に抱く篠宮慶太に果てしない怒りを覚えながら、私は口を開いた。

「離して」

少しもがくと、篠宮慶太は両腕を緩めた。

こんな男は大嫌いだ。

……こんな男に庇われるくらいなら、噴水に落ちてた方がマシ。

ううん、違う。

この作業服が来なかったら噴水に落ちそうになることも、抱き締められて胸の感覚知られる事もなかったのに。

「あ、えっと」

私から身を起こした篠宮慶太が、気まずそうに何か言おうとした。

もう我慢できない。

落ちてろ。落ちてしまえっ。

「うわあっ」

私はドン!と彼の胸を押すと、素早く一歩下がった。

噴水に人を突き落としたのは、当たり前だけれど生まれて初めてだ。

水深は浅いし、腹立たしかったために罪悪感はさほどなかった。

ざまあみろ。

……んっ?!

あ……れ……。

噴水の中の彼を見て、私は呼吸を忘れた。
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