あなたにspark joy
そんな彼女の瞳には一筋の達成感が浮かんでいて、俺は内心呆気に取られた。

……なんて女だ。

25歳にもなって、初対面の男を噴水の中に突き落とすなんて。

もう許せない。

俺はずぶ濡れのまま彼女を捕まえると、素早く噴水に引きずり込んだ。

柔らかな色の水しぶきが、俺と彼女の周りに弾けとぶ。

ざまあみろ。

絶叫した彼女の顔に、俺はしてやったりと思った。

けど、瞬きをして次に彼女を見下ろした時、俺は不覚にも彼女に見とれた。

髪からキラキラした雫を滴らせ、真ん丸な瞳で俺を見上げた園田真優に、俺の鼓動が跳ね上がったのだ。

形のいい輪郭。長い睫毛に縁取られた二重の綺麗な眼。

それから、ポカンと開いた小さな口。

あの太陽の笑顔より、何倍も何倍も強烈なインパクトを俺の心に刻んだこの表情。

……キスしたいと思った。

こんなふうに誰かにキスがしたいなんて頭がおかしいのかも知れないけど、俺は彼女にキスがしたかった。
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