あなたにspark joy
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モヤモヤとした気持ちを抱えながらこの先も過ごしていくのかと思っていた矢先、それはあっさりと解決した。

『本社に園田真優がいなくなるのは大打撃』

そう言った秋彦の言葉が痛いほど良く分かった。

仕事に対する真摯な考え、他人を思いやる気持ち。

困っている相手が誰であろうが、自分の出来ることを全力で成し遂げて仲間を守ろうとする心。

いつか見た光景が、俺の脳裏に蘇った。

彼女に声をかける大勢の外注や、社員達。

誰もが園田真優を慕うのは、彼女の愛嬌なんかじゃない。

彼女の、心なのだ。

「な?凄いだろ、園田真優は」

丁度行程会議に参加していた俺に、秋彦が得意そうに笑った。

割れた鋼材の件を速やかに解決した園田真優をあの安川部長が褒め倒したのが印象的だった。

会議を終え、エレベーターの扉が閉まるのを確認すると、秋彦がまたしてもニヤニヤと笑った。

「結婚までの腰掛け社員じゃないよ、園田真優は。惚れたか?」

「アホか」

……惚れた。
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