あなたにspark joy
ハッキリと自分の気持ちが分かった瞬間だった。

今までモヤモヤとしていた正体が分かり、霧が晴れるような思いだった。

俺は、園田真優が好きだ。

本当に好きだ。

そんな俺の前で秋彦がわざとらしく溜め息をついた。

「ただ、俺の婚約者が言うにはさ、園田真優はあんな可愛らしい外見とは裏腹に、中身は男らしいらしいぞ。実にサバサバしてて切り換えが早いんだと」

「……」

「お前、イケメン社長のクセに色恋に疎いし、ドン臭いもんなー。あの事件の当事者で製造部の俺様社員・上山に持ってかれちゃうかもー」

ヘラヘラと笑う秋彦にイラッとした。

「渡さないよ」

口を突いて出てしまった俺の言葉に、秋彦が眼を見張った。

「へぇーっ!慶太くんって実は男らしい……」

「うるせぇよ」

あの日、ブレイクルームで麻耶にハッキリと自分の意見を言った園田真優を思い返した。

仕事に対する、眩しいくらい純粋な彼女の気持ち。


『篠宮さんと私は無関係です』


それとこれは……真実だけど、グサリと胸に刺さる言葉だった。
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