あなたにspark joy
「うわっ……」

「うわっ、じゃないよっ」

「真優ちゃん……?」

「篠宮さんってバカなんじゃないの?なんで分かんないの!?なんで、自分だけ言いたいこと言って帰ろうとするの?私だって、私だって高広とは別れたし、もう一回付き合ってって言われたけどそんな気ないよっ」

篠宮さんの身体が小さくビクンとしたけど、私は続けた。

「あの夜、佐伯さんといた篠宮さんを見て諦めようとしたけど、高広に眼を向けようとしたけど……やっぱりどっちも無理だったよ」

「真優ちゃん」

私はしゃくり上げながら続けた。

「今思えばだけど、噴水の中でキスしたのだって嫌じゃなかった。そりゃビックリしたし思わずあんな態度をとっちゃったけど、相手が篠宮さんだったから嫌じゃなかった」 

私がここまで言った時、噴水がピタリと止まった。

ライトアップが始まる前の合図だ。

「私、篠宮さんが好きです」

「……っ!」

言い終えた後、身体がカアッと熱くなった。

泣きすぎたから顔が熱いのか、恥ずかしいからかは分からないけど、こんなにも胸がときめく理由はちゃんとわかってる。

「篠宮さん、大好きです」

篠宮さんが私の腕を解いてこちらに向き直った。

その瞳が驚いたように私を見ている。
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