あなたにspark joy
それから、唇がゆっくりと動いた。

「ヤバい。嬉しい……スゲー嬉しい、俺」

その時、パステルカラーの水が勢い良く夜空に向かって噴き上がった。

明るい街灯と、キラキラ跳ねる、甘い色の水しぶき。

弾けるようなそれは、私の全身に染み渡るように伝染する。

「真優ちゃん」

篠宮さんが優しく私を呼んだ。

「はい」

ふわりと篠宮さんに包まれて、私は今、極上の幸せの中だ。

「大切にするよ。だから俺と付き合ってください」

真っ直ぐな篠宮さんの眼差しに、また涙が出そうになる。

「……はい」

「やったあ!」

ああ、最初のあの、胸で弾けたような感覚は、きっとあなただから。

この堪らない気持ちは、きっと恋の相手があなただから。

嬉しくて嬉しくて、私は篠宮さんを見上げると、にっこりと笑った。

「じゃあもう、吹っ飛んだハイヒール返そうかな」

「……あのハイヒール、一番のお気に入りなんです」

そう言った私を見て、篠宮さんはクスリと笑った。

ライトアップはいつのまにか終わり、いつもの噴水に戻っていたのに、私達は暫くの間、手を繋いでそれを見ていた。
< 169 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop