あなたにspark joy
私と恵里の鋭い眼差しに、佐田君がニッコリと微笑んだ。

「ごめん、一人遅れてるけど、必ず来るから」

来てもらわないと困る。

だって既に到着している男性、勿論瞳の彼である佐田君じゃない方(後に有賀さんと判明)は、どうやら恵里狙いだ。

視線でわかるし予想はしていた。

なんてったって恵里は柔和で優しく、可愛らしい印象だ。

童顔で背も高くなく、男性からすれば守りたくなるようなタイプなのだ。

一方私と言えば……自分では良く分からないけれど、恵里のように柔らかい雰囲気を持っていないのは確かで。

自己紹介も終わり、ワインとメインの肉料理が到着しても、もう一人の男性は姿を現さなかった。

アルコールが入るにつれ、疎外感がハンパない。

ああ、来るんじゃなかった。

そんな私を察してか、有賀さんが申し訳なさそうに私に口を開いた。

「園田さん、食べてますか?ワイン、注ぎましょうか?」

有賀さんは都内でデザイン会社を立ち上げた起業家だそうだ。

話によると、某有名ヒューマンヘルスケア会社との契約に成功し、経営も順調らしい。
< 2 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop