あなたにspark joy
二時に測定結果の用紙を取りに行く約束だった。

「すみません!じゃあ橋本課長、失礼します」

「まーたーねー……」

幽霊かアンタは。

いや、課長だけど。

気を取り直して、安全靴に揉みくちゃにされた自分のローファーを引き寄せて履くと、私は飾り気のない設計課のドアを開けて廊下に出た。

はあー、疲れる。

私は生産技術課所属だ。

けど、技術課に加え、生産管理課と設計課の事務を兼任している。

大体、三つの課に事務員が二人しかいないのがおかしいんだと思う。

私は首を左右に傾け、バキバキと鳴らしながら廊下を足早に進んだ。

「失礼します」

生産管理課のドアを開けると、前田さんが三次元測定機の前で待っていた。

しかも仁王立ち。

「五分遅刻!俺、二時って言ったよね?」

そんなの、何もかもスローペースな橋本課長に言いなさいよっ!

思わず眉間に皺が寄りそうになって、私は落ち着こうと大きく息を吸い込んだ。

だめ!笑顔よ、笑顔。

「前田さん、ごめんなさい」
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