あなたにspark joy
「こいつの会社……株式会社デザインタフは、スゲーんだよ。世界中に存在する全てのものを作ることが出来る」

源川社長がそう言うと、篠宮慶太が決まり悪そうにグラスに口をつけた。

「お前は大袈裟なんだよ」

「ははは。それぐらい凄いって言いたいんだよ」

胸が僅かに重くなった。

……いいよね、充実してるんだ、きっと。

好きな仕事で生きてるんだろうな。

社長にしても、篠宮慶太にしても。

何だかんだ小さな不満はあるものの、妹尾さんも事務の仕事が好きだって言ってたし。

でも……私は……私はそうじゃない。

今の自分の仕事が、本当は好きじゃない。

私がこの源川コーポレーションを就職先に選んだのは、設計の仕事がしたかったからだ。

設計課を希望していたにも関わらず、事務員の人材不足を理由に設計者として雇ってはもらえなかった。

だから私には、仕事に対する情熱などないし、誰かがこんな風に生き生きと仕事の話をしていると、正直居心地が悪い。

「おっと、女子の前で退屈な話はここまでだ。なあ、慶太。お前の家にあったハイヒールの主の話、詳しく教えてくれる約束だろ?!さあ、話せ!」

ぎっくぅ!
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