あなたにspark joy
……やっぱりか。

「……今日は泊まれば?ベッド貸すから」

……そ……んな事言われても……。

「でもなんか、古い考えかもしれませんが、知り合って間なしだし、そういうのは……」

ソファに腰を下ろして膝の上で両手を握り締めながら私がそう言いかけた時、どこかで小さくチチチ、と電子音が鳴った。

「あー……ヤバ」

少し眼をあげた私の前で、篠宮慶太が自分の脇の下から取り出した体温計を見つめて眉を寄せた。

……もしかして……。

「あの、熱があるんですか?」

篠宮慶太は何故か首をかしげた。

「……壊れてんのかも」

………壊れてる?体温計が?

訝しげに篠宮慶太を凝視していると妙な感じがして、私は思わず眉を寄せた。

彼の額に……汗がびっしりだ。

いくら私が劇的に重かったとしても、寒々しいこんな夜に、こんなに沢山の汗をかくものなんだろうか。

しかも顔色も良くない。

もしかして、病気かも。

「ちょっとごめんなさい」
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