あなたにspark joy
なんだか急に鼓動が速まる。

「……ちょっと、ごめん」

部屋のタンスに歩み寄ると彼は私に背を向け、少し肩を揺すって上着をスルリと脱いだ。

う、わ。

広い肩幅と、キュッとしまった腰。

その後カチャンと小さくベルトの金属音がして、私は慌てて彼に背を向けた。

さすがにズボン下ろすところは見ちゃダメでしょ。

「……いいよ。はい、これ貸すよ」

「え?」

振り向いて彼の手元を見つめると、それはどうやら部屋着のようだった。

「俺のだから、かなり大きいと思うけど」

……本当は断りたいし帰りたかった。

けど、私も熱があるのは確かなようで、寒気と全身のダルさが半端なかった。

きっと、こんな状態で家に辿り着くのは無理だ。

「あの、別れた彼女の物で悪いけど、洗面所にメイク落としのヤツ……クレンジングだっけ?そーゆーのもまだ処分してないから、自由に使っていいよ。あ……その、園田さんさえ構わないなら」

「……ありが……とう」
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