あなたにspark joy
「女の子よりも長引くなんて、カッコ悪いだろ」

「……別にカッコ悪くはないです。私が逞しいだけで。取り敢えず寝ててください。料理は私が代わります」

私はそう言うとベッドから出て、代わりに篠宮慶太をベッドに寝かせようと彼の腕を引いた。

「いやでも」

「あっ、その、篠宮慶太が迷惑じゃなかったら」

わ、しまったっ!

呼び捨てだし、フルネームだしっ!

まさかの恐ろしいミスに、カアアッと一気に顔が熱くなって、私は俯いた。

「すみません……」

消え入りそうな声で私が謝ると、彼は笑いを含んだ声で言った。

「いいよ、慶太で。フルネームで呼ばれるより下の名前で呼ばれる方が。俺も真優ちゃんって呼ぶから」

「……はい……」

「じゃあ……あと、味を整えるだけだから、かわってもらっていいかな?」

「はい。じゃあ、キッチンお借りします」

私がドアの手前でこう言うと、慶太さん……いや、篠宮さん……は、丁寧に頭を下げてから微笑んだ。
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