あなたにspark joy
「真優ちゃん」

「……はい」

「真優、早くしろ」

廊下の先で高広の声が響いた。

「あ、うん」

「またね」

……え。

私は僅かに眉を上げた。

だって篠宮さんに、そんな事言われるなんて思いもしなかったから。

『またね』

振り返って見上げた篠宮さんの顔は少しだけ微笑んでいて、私はそんな彼に頷く事しか出来ずにバスルームへと向かった。

またねと言われてドキドキしたのは初めてだった。

****

「詳しく話せよ」

ハンドルを握りながら不機嫌そうな顔で、高広が私をチラリと見た。

「関係ないでしょ?!飲み会でたまたま知り合っただけ!とにかく、篠宮さんに余計なことベラベラ喋んないでよね」

「……いつ?」

「先週」

「なんで泊まってたの」

なにその偉そうな口調は。

「さっさと答えろよ」
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