あなたにspark joy
「いてーっ!」

「降りる!もうすぐそこだから歩く!」

丁度信号待ちで停車していた高広の車から素早くドアを開けて降りると、私は歩道へと走り車から離れた。

慌てた高広が、窓を開けて叫ぶ。

「忍者かお前はっ!」

「うるさい!」

「また連絡するから!」

そこで信号が青に変わり、私が反撃する隙を与えず高広の車は発進し、みるみる小さくなっていった。

……なに?!負けた感じじゃん!悔しい!

何が悔しいって、半年も前に自然消滅したにも関わらず、『はっきり別れた訳じゃない』という高広の言葉に少し納得してしまった自分が悔しい!

音信不通は、別れたのと一緒!!

こんど会ったらバシッと言ってやる!

私は込み上げる怒りに任せて家までの道のりを男らしく闊歩した。
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