あなたにspark joy
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出向まで残すところあと二日となった金曜日の事だった。

「……お気持ちだけ有り難くいただいておきます」

私は冷や汗の出る思いで前田さんを見上げた。

時間は午後七時二十五分。

二時間の残業を終えて、私が帰り支度を始めた数分後の事である。

「どうして?」

いや、どうしてって……。

前田さんはこちらを真正面から見下ろして、再び私に問いかけた。

「俺とは飲みに行けないの?」

……だって……前田さんと二人でなんて話す話題もないし、気まずい。

今までの忘年会とか新年会の類いの飲み会ですら席が離れていたのに、二人きりで私の送別会なんてとんでもない話だ。

第一、意味がわからない。

なんで前田さんと二人きりで私の送別会なんだ。

……絶対嫌だ。

生産技術課のオフィスに普段は長くいる課長も今日は出張でいないし、石井くんも第二工場から直帰だし。

稲田さんは絶対定時退社だし。

誰も助けてくれる人がいないこの状況。
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