あなたにspark joy
「秋彦に用があったんだ。ついでに磯山課長に会っていこうと思ってオフィスにきたら、窓から真優ちゃんが見えて。そしたらあの背の高い彼が急に詰め寄って腕を掴んだから、これはヤバイと思ってさ」

よ、良かった……!

「ありがとうございます……お陰で本当に助かりました……」

全身の力が抜けて、膝から崩れ落ちそうになる。

「大丈夫?なにかトラブル?」

なんとか踏ん張って篠宮さんを見上げると、彼は私を真っ直ぐに見ていた。

こんな時に変だけど……綺麗な顔……。

それになによりもホッとした。

当たり前だけれど、篠宮さんの瞳がさっきの前田さんとはまるで違っていて、温かくて優しくて。

「真優ちゃん」

急にブルブルと両手が震え出した。

「……何だか良く分からないけど二人だけで送別会って言われて、それを断ったら急に前田さんが」

息が続かなくなって、そこで言葉が途切れた。

大きく息をしているのに、苦しい。

やだ、震えがとまらない……。

「怖かったんだね。もう大丈夫だよ」

恥ずかしい。
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