あなたにspark joy
震えを止めようと両腕を抱き締めるも、思うようにならない。

少し眼をあげると篠宮さんと視線が絡んだ。

震える私を見て少し驚いたようだったけど、彼はすぐに私を引き寄せた。

「おいで。もう心配ないから」

フワリと篠宮さんの腕の中に囲われた。

彼の固い胸に額が当たる。

「大丈夫」

胸がギュッとした。

****


私は……魔法にでもかかってしまったのだろうか。

篠宮さんの車から降りたくないと思ってしまうなんて。

胸が圧迫されているような、妙にドキドキするこの感じ。

痛いくらい心臓がバクバクして煩くて、緊張している。

顔が見たいのに、運転中の篠宮さんを盗み見るなんて到底できない。

薄暗くて暖房が利いた暖かい車内と、篠宮さんの香りがすごく心地よくて、ずっとここにいたい。

今、私の中で篠宮さんの印象が大きく変わってしまった。

前田さんから助けてもらってあんな風に胸に抱かれて、私の心は篠宮さんにドキドキしている。
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